刑事の仕事とウラ話
テレビの刑事ドラマで刑事が活躍していますが、本物の刑事もあんな感じなのでしょうか?
本当に取調室で「カツ丼食うか?」と被疑者相手に言うのでしょうか?
このページでは、一般の人も興味津々の、刑事の本当の姿についてQ&A形式で迫ってみたいと思います。
刑事が「張り込みにあんパンと牛乳」って本当?
テレビドラマで刑事の張り込みといえば「あんパンに牛乳」がお約束。
でも実際は、「あんパンと牛乳」でなくても別に好きなものでいいです。
とは言っても、張り込み中は常に注意力を研ぎ澄ませておかないといけないので、ほとんど食べないし、食べてもパンとかおにぎりくらい。
「幕の内デラックス」とかはありえません。
刑事が取り調べ中に被疑者に「カツ丼食うか?」って本当に言うの?
取り調べ中の犯人に「カツ丼食うか?」これも定番(ベタ)ですね。
でも、これも完全に刑事ドラマでの作り話。取調室で何かを食べさせるのは「自白目的で利益を与えた」と疑われるので禁止されています。
被疑者の食事は、決まった時間に留置場に戻り、そこで支給される弁当を食べることになっています。
刑事が「行きつけの小料理屋の女将に事件の話をする」って本当?
これも全くのウソです。
警察官には守秘義務があって、事件の話を関係のない第三者にペラペラとしゃべってはダメなのです。
特に被害者や被疑者の個人情報など、プライバシーに関する話を女将にするなんて論外です。
テレビドラマの刑事は、その点ではダメ刑事ですね(笑)
「捜査一課」「捜査四課」って何?
捜査一課(係)、四課(係)というのは一昔前の呼び方で、今は違う呼び方をしています。それぞれの課(係)の名前と担当する事件の種類はこのように分かれています。
- 強行係=捜査一係・・・殺人、強盗などの凶悪犯罪から器物損壊(故意にものを壊すこと)まで、その他の係の分野に含まれない刑事事件一般
- 知能犯係=捜査二係・・・汚職、詐欺、選挙違反などに関する刑事事件を担当する
- 盗犯係=捜査三係・・・ひったくり、空き巣狙いなど、窃盗犯の捜査を担当する
- 暴力団対策係=捜査四係・・・暴力団がらみの刑事事件を担当する
このように、一口に刑事といっても、専門分野があります。
人間というのは、その職業が顔に出るらしく、ベテランの刑事の顔は、見ただけでどの係が分かってしまうから面白いものです。
なお、上の4つが「課」の単位で分かれるのは警察本部での部門で、警察署のレベルでは「係」の単位で分かれています。
「新米刑事はお茶くみが仕事」って本当?
これは本当です。
職人気質の刑事の世界では、新米刑事の仕事は最初はお茶くみ。
「お茶くみ3年」と言われます。
先輩刑事のコップ、コーヒーの好みを頭にたたき込んで、先輩刑事が飲みたいと思ったときにタイミング良くサッと出すことから始まります。
といってもこれも刑事として必要なトレーニングの一つ。
「身内の嗜好や心理状態もつかむことができないで、どうして犯罪者の心理を見抜いて自供されることができようか」
という考えに基づくものなんです。
「自分はお茶をくむために警察官になったのではありません!」という主張は刑事は通用しないのです。
テレビドラマの殺人事件現場で、刑事がよく白手袋をしているけど?
これは「現場保存」といって、刑事自身の指紋を現場につけてしなわないようにするためです。
また、犯人の指紋を消してしまわないように手袋をしていても、現場鑑識が終わるまではやたらに現場のものをさわったり、動かしたりしてはいけないのも捜査の基本です。
刑事に限らず、現場保存は警察官の現場活動の基本の一つです。
ですから、万が一、あなたの家が空き巣に入られたら、そのままの状態で警察に110番してくださいね。
テレビドラマで鑑識が指紋を採るシーンで、耳かきの大きなものではたいているけど?
あれは半分本当で半分ウソ。
指紋は、アルミ粉と松ヤニを混ぜた粉末を振りかけて採取するのですが、ハケでポンポンをと指紋をたたくのは間違いです。
本当は粉末をつけたハケで指紋を軽くなぞるようにします。
刑事は警察の中で偉いの?
刑事というのは、いくつかある警察の仕事の中の一つに過ぎません。なので、刑事が他の警察官に比べて偉いということは決してありません。
しかし実際、刑事の人は他の課に比べて多少なりともプライドの高い人が多いような気がします。
これは、刑事は殺人犯や暴力団などを相手に仕事をしているという点や、職人気質の人が多く、家庭を犠牲にして仕事に没頭する性分の人が多いことが理由であるように思われます。
テレビで刑事が射撃の練習しているところがあるけど、警察署に射撃場があるの?
警察署には射撃場はありません。
(未確認情報ですが、最近では射撃場が設置されている警察署もあるらしいです!)
射撃の訓練は警察学校で行います。
ちなみに、テレビの射撃訓練のシーンでは、ヘッドホンをつけて射撃をしていますが、実際にもああいうヘッドホンをつけて訓練します。
あのヘッドホンは何のためにつけるのかというと、耳栓として使っているのです。
とはいっても、通常、警察官が身につけている拳銃はダーディーハリーのマグナムのような「バキュ~ン!!!」という迫力のある大音量ではなく、「パン!」という、乾いた音なんですけどね。